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健康な体づくりは、季節を問わず必要ですね。暑さで体調がゆらぎやすい時期は、免疫システムを元気に保つことの大切さを再認識できる時でもあります。このブログでは、外的要因が体に与える影響とその対処法についてご紹介します。
免疫システムは自然免疫と獲得免疫の2つに分けられます。自然免疫は、侵入者である外的要因といち早く戦う、最初の防御線。そして、侵入者の情報を獲得免疫に伝えることで、獲得免疫がさらに高度な対応で侵入者と戦います。さらに自然免疫自体も侵入者の情報を更新してます。
免疫システムは、細胞同士のコミュニケーションという複雑なネットワークで成り立っています。細胞が生み出すサイトカインと呼ばれる物質を介して互いの情報を伝達しています。炎症性サイトカインは侵入者への防御反応を、抗炎症性サイトカインはダメージを受けた細胞の修復反応を促します。
免疫システムの機能に悪影響を及ぼす外的要因はたくさんあります。例えば、 飲酒、喫煙、加工食品の過剰摂取、ウイルス、病気、慢性的ストレス など。こうした要因が免疫システムに与える影響とその対処についてご紹介します。
飲酒量の多い人は、飲酒しない人や飲む程度が低い人に比べると、合併症や病気が悪化しやすいと言われています。 過度の飲酒は、確実に免疫システムに影響を及ぼします。 自然免疫と獲得免疫の両方の防御力を弱るため、感染症にかかりやすくなり、ひいては全身性炎症につながる可能性があります。1
また、妊娠中の飲酒は、胎児の免疫発達に影響を及ぼす可能性があります。その結果として、飲酒習慣がある母親の新生児は、感染症にかかりやすいとも言われます。2
妊娠中のお酒は控えるようにしましょう。
喫煙は、免疫システムの反応バランスを悪くします。3 具体的には、T細胞やB細胞といった獲得免疫として働く細胞の機能に影響します。喫煙者のT細胞は、炎症性物質を過剰に生成してしまい、健康な器官にダメージを与える可能性があります。さらにB細胞では、生成する抗体の量が減少します。この抗体とは、外的要因を排除したり、他の免疫細胞を助ける働きを持っています。このように、喫煙習慣によって、T細胞とB細胞の正しい機能が阻害されやすくなります。さらに、タバコに含まれる化学物質は、肺や呼吸器に関わる病気を引き寄せやすく、治療の妨げにもなります。おまけに、喫煙習慣はアレルギーにも影響し、アレルギー反応を起こしやすくなります。
加工食品には、ヘルシーとはいえない油分や砂糖が多く含まれています。4,5 その加工食品をあまり頻繁に食べ過ぎると、まず、腸内細菌のバランスが崩れやすくなります。その結果、炎症性サイトカインを生む免疫細胞を刺激することになり、過剰に生成された炎症性サイトカインによって様々な問題が起きやすくなります。
誰でも一度は、風邪やインフルエンザ、下痢などのウイルスに感染したことがあるでしょう。ほとんどの場合のウイルス感染は、免疫システムによって自然治癒します。しかしウイルスによっては、自然免疫と獲得免疫の連携を妨げることで自然免疫を制御不能にし、肺、心臓、などの臓器の損傷につながる場合があります。この時、自然免疫にある食細胞(免疫細胞の一種)が過剰に活性化し、大量の炎症性サイトカインを発生させます。この過剰に発生した炎症性サイトカインを一般的に「サイトカインストーム」と呼び、健康な臓器を損傷させる可能性があります。
炎症性物質の過剰発生は、ウィルスが引き起こすだけでなく、損傷した細胞が体内に数多くある場合にも起こります。例えば、心臓発作6、外傷、慢性疾患などです。 通常であれば、食細胞が損傷した細胞を除去し、治癒に向けた免疫反応を促します。ところが、損傷した細胞が広範囲にある場合、食細胞が広範囲で活性化することで炎症性物質が大量に発生することになります。これにより、ウィルスの場合と同様、よりいっそうの損傷を引き起こすことがあります。
最後はストレスがもたらす免疫への悪影響について紹介します。7 ストレスとは、困難な状況に際した時の生理的・心理的な反応のことです。免疫システムは、体が急性なストレスにほんの数分間でもさらされると、血液中に免疫細胞を送り込んで、予測される感染や負傷に備えるようになっています。このように、短期的な免疫反応であれば体を守ることになりますが、ストレスが慢性化しているとどうでしょうか。本来であれば体を守るための炎症性物質が、数日から数か月という長期にわたって生み出され続けることになります。その場合、今まで紹介した要因と同様、逆に免疫システム本来の機能の妨げになり、ひいては健康を損なうことにつながります。
免疫システムに対する脅威の多くは、免疫反応のバランスを崩したり、細胞の損傷につながります。では、それに対して私たちが意識的にできることは?それは、健康的な生活を維持することと、免疫システムをサポートすることです。
免疫システムのバランスを保つには、お酒は飲まない、または量を減らしましょう。米国CDC疾病予防センターでは、男性なら1日2杯程度、女性なら1杯程度を推奨しています。* そして、喫煙習慣を止めることも大切です。ダメージを受けた免疫システムの機能が回復し、肺がんのリスクも減少します。
* 日本の厚生労働省による推奨基準:純アルコール20g以下
慢性的なストレスには、エクササイズ、ウォーキング、近所の散歩などがおすすめです。体を動かすことは、自覚がなくても体の機能としてストレス発散になっています。それが、健康的な免疫機能のサポートにもつながります。
不健康そうな食事はなるべく避けましょう。過剰な炎症作用を抑えるのに適した食材もあります。魚類や野菜、オリーブオイルなどは免疫も喜ぶ食材です。
とくに寒い季節に気になるウイルス感染を防ぐには、毎日の衛生管理を意識しましょう。まずは手洗いとうがい、必要であればマスクの着用など、衛生習慣を身につけましょう。
Stay healthy and happy,
Dr. Enioutina
Studies:
Sources:
1 How Does Alcohol Consumption Affect the Immune System?
2 Prenatal Alcohol Exposure and the Developing Immune System
3 Smoking and Overall Health
4 Strengthening the Immune System and Reducing Inflammation and Oxidative Stress through Diet and Nutrition
5 Advanced Glycation End Products in Foods and a Practical Guide to Their Reduction in the Diet
6 Unraveling the thread of uncontrolled immune response in COVID-19 and STEMI
7 Stress induced proinflammatory adaptations: Plausible mechanisms for the link between stress and cardiovascular disease
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